2008年9月。僕は人生の恩師と言っても良い人と辛い別れを経験しました。
享年47歳。48回目の誕生日の2週間前でした。
今日は師匠の元で働いていた時のお客様から連絡をいただきました。
嬉しかった。昔話で盛り上がった。いろいろ思い出しました。
一から、いやゼロから教えてくれた師匠です。僕に取っては兄貴みたいな存在で、一生懸命に師匠のやっている事を真似て、宿題を出してくれていると思ったら期待に応えようと徹夜で書類なんかも作ったりしました。全てが楽しい思い出です。師匠のテクニックを盗んで、自分なりに味付けして、自分の成果を報告、レポートする。楽しかった。
師匠は何も教えてくれない。でも師匠はいつもヒント、と言わずにヒントを出してくれている。完成していないレポートをデスクの上に出しっ放しで帰宅する。これは僕に読んで自分なりに完成させて見なさい、と言う事だったのだと思う。僕は無断でコピーして僕なりに完成させる。それを見てもらう。師匠は「あ、レポート出しっ放しやったな」と笑顔で。師匠が土台を造って、僕が上物を完成させた物がある日突然お客さんの前で使われた時はビックリしたし嬉しかった。彼は何も言わないで僕が引き継いで半信半疑で書いた物を「内の若いのが書いたんです。僕のよりできが良いから参考にしてください。」、とお客さんの前で言ってくれた。嬉しかった。もう師匠とその時の思い出話はできません。帰らぬ人となってしまったからです。でも師匠は僕の資料はいつも全て見てくれた。褒め言葉はゼロ。批判だけである。褒めの言葉はお客さんの前で言ってくれる。嬉しい。
彼がいつも言っていた事。教えたい事は山とある。でもいちいち教えていたんでは君のためにならない。世の中、教えてくれるものなんて身に付かない。自分で考えて自分の物にしろ。そして24歳の時彼の元で働くこととなった初日に言われたのは「君の事を若いからって許してくれる人は、一生君の事を一人前として扱わないよ。君も頭上がらなくなるだろ。君は一人のプロとして仕事をするなら甘えてはいけない。人の100倍努力して基本的な知識を身につけろ。そうしないと変わりつつある世の中について行けないし誰も君の事を真面目に相手しないよ。ダメだとか無理だと言って努力しない人は必ず滅びる。若いからって言うのが言い訳だとおもったら大間違い。みんな頑張ってるんだよ。」
僕は師匠の背中を必死に追いかけた。彼の元で働いていた時は確か毎日平均睡眠は3時間から4時間だったと思う。それぐらい勉強しないと行けない事が沢山あった。師匠にお願いして日本のお客様との名刺交換の特訓もしてもらった。良く笑われ、怒られ、謝る。
師匠は僕をよく家に招待してくれた。奥様の手料理で師匠と1対1。美味しそうなワインを飲む師匠の前で僕は大好きなワインを一滴も飲まないで仕事の話を聞き、質問して彼のやり方を盗んだ。10年後彼は言ってくれた、「君はワインも飲まないで、俺の話聞いて質問してたんだよ、ノート片手にさ。可愛いから色々教えちゃうだろ」って。僕は真剣だっただけです。師匠から教えてもらった事は無限の価値があり、僕の仕事のバックボーンになっています。師匠が天国にいってしまったのでこれからは僕が自分で考えて色々やらないといけないし、天国からカミナリを落とされないようにがんばりたい。
末期がんで余命1ヶ月、僕にメールしてくれた。「元気ですか?はやく仕事に戻りたい。君に追い抜かれるのはいやだから」
おっさん、もう追い越せないよ。
赤シャツさん、こんな感じでしたよね。今日はありがたい話いろいろありがとうございました。また今度昼行きましょう。
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